愛媛愛。やけん、デカボ。愛媛愛。やけん、デカボ。

デカボを学ぶ

日常のデカボアクションを発表する学生

学生が考えたデカボアクションを紹介する環境課題解決型プログラム「えひめチャレンジ」。連載の最終回では、買い物以外の日常生活を対象に、デジタルスタンプラリーを活用したアイデアを紹介します。
記事の後半では、6チーム全体の審査結果も紹介します。

テーマ3「デカボを、毎日の当たり前に。」

このテーマの課題は、買い物以外の日常生活で、愛媛県民が気軽にデカボアクションを実践し、継続したくなる仕組みをつくること。デジタルスタンプラリーを活用した2チームの発表を紹介します。

日常Aチーム
「好き」を原動力にするスタンプラリー

日常Aチームのメンバー

●発表内容

チームが提案したのは、スポーツ、ラーメン、温泉など、一人一人の「好き」を原動力にするデジタルスタンプラリー「愛媛偏愛ラリー」です。
チームはまず、候補となる16のデカボアクションを、「意識して行うか、無意識に行うか」「普段から行うか、あまり行わないか」という2つの軸で整理しました。普段から行っているものには特別な仕掛けがなくても参加できますが、あまり行わないものには、つい試したくなる工夫が必要だと考えました。

愛媛偏愛ラリーを提案するプレゼンテーション

例えば、商品の値札に産地から売り場までの距離を示し、より近い商品を選びたくなるようにします。食品トレーの回収箱を二択の投票箱にして、投票する楽しさを加えます。旬の食材には「旬が終わるまであと何日」と表示し、今のうちに食べたくなる気持ちを引き出します。
16のアクションの中でも、最も難しいと考えたのが、家庭で出る使用済み食用油の回収です。回収拠点はあっても、場所や持ち込み方が十分に知られていないことから、スタンプラリーの最後はこの回収を必須に設定しました。参加者の自宅に近い回収場所を案内し、油をペットボトルへ移し替えるための漏斗(ろうと)も回収拠点で受け取れるように用意します。

デカボアクションごとの仕掛けを説明するプレゼンテーション

アクションには難易度に応じたポイントを設定し、獲得数に応じてブロンズ、シルバー、ゴールドとランクアップします。簡単なものから始め、次第に難しい行動へ挑戦可能にします。
最後まで達成した人には、地域のスポーツ観戦、飲食店の限定体験、温浴施設の利用など、それぞれの「好き」に応じた特典を抽選で用意します。環境のためにがんばるのではなく、好きなものを楽しむために行動した結果、デカボが日常になっている状態を目指しました。

●審査員の講評

審査員からは、16のアクションを2つの軸で整理し、行動の難しさに応じて仕掛けやポイントを変えた分析が高く評価されました。距離を示す値札、投票型の回収箱、旬の残り日数の表示などは、スタンプラリー以外の売り場や施設でも活用できるアイデアだという声がありました。
一方で、参加人数に応じた特典の費用や、ランクを参加者同士の競争・協力にどうつなげるかについて、具体的な設計が必要との質問も。使用済み食用油の回収が、いつまでも難しい行動のままでは継続しにくいという指摘もありました。一度参加して終わるのではなく、次からは自然に続けられるようにする工夫が、今後の検討点です。

講評する審査員
立教大学 環境学部 准教授 竹内彩乃氏

●学生の感想

学生は、発表全体の物語を組み立て、分析からアイデアまで論理的につながるように意識したと振り返りました。異なる背景を持つメンバーの案を組み合わせたことで、一人では生まれなかった提案にできたといいます。
今回の発表をゴールにするのではなく、参加した自分たちが率先して周囲を巻き込みたいという声もありました。また、実際に街へ出て現地を見たことで得られる気づきが多く、アイデアを考えるときは、その場所を自分で体験することが大切だと学んだそうです。

日常Bチーム
子どもの「かわいい」を家族のデカボへ

日常Bチームのメンバー

●発表内容

チームが対象としたのは、環境に配慮したい気持ちはあっても、家事や育児に追われ、行動に移す余裕が少ない子育て中の家庭です。子どもが生まれると環境への意識が高まる一方、忙しさから実際の行動は増えるとは限らない点に注目しました。
そこで、環境のために新たな負担を求めるのではなく、親がもともと持っている「子どものかわいい姿を写真に残したい」という気持ちを、行動の入り口にしました。

使用済み食用油の回収では、油を移し替える漏斗(ろうと)を、動物や親しみやすいキャラクターの形にします。漏斗は回収時に返してもらう交換制とし、子どもが使ってみたくなる仕掛けにします。
食品トレーの回収箱は動物に見立て、「おなかいっぱいにしてあげよう」と子どもがトレーを入れたくなるデザインにします。食べ残しを減らすためには、愛媛の焼き物の絵付け体験を実施します。食器の底に子どもが絵を描き、その絵を見るために最後まで食べたくなる仕組みを提案しました。

子育て世代を対象にした企画を説明する日常Bチーム

こうしたデカボアクションに親子で挑戦し、その様子を撮影すると、2カ月間のデジタルスタンプラリーでスタンプを獲得できます。すべて達成すると、撮りためた写真をまとめたアルバムが自宅に届きます。後から家族で見返すことで、「こんなことをしたね」「またやってみよう」と話すきっかけをつくり、行動の継続につなげます。

さらに、冬休みの宿題として学校から子どもへデカボを伝え、家庭で親子が一緒に挑戦する案も示しました。親から子へ、子から親へと働きかけ合いながら参加する仕組みです。将来は、成長した子どもが自分から分別や資源回収を行い、家族の負担を減らす姿まで見据えました。

親子で挑戦するデカボスタンプラリーの提案

●審査員の講評

審査員からは、忙しい家庭にとって「面倒」になりやすい環境配慮行動を、子どもとの楽しい思い出へ変えた点が高く評価されました。子どもの写真なら忙しくても撮りたいという、親の自然な気持ちに着目したことが、この提案ならではの強みです。
また、「かわいい」の対象は小さな子どもだけに限られないという意見も出ました。ペットや応援している人・もの、大人になった子ども、帰省した孫など、誰にとっても大切で写真に残したい存在があります。空港など帰省客が集まる場所で実施し、後から祖父母へアルバムを届けるといった展開案も示されました。
親子向けのアイデアとして始まりながら、世代や家族の形を超えて広げられる可能性がある企画として、期待が寄せられました。

日常Bチームへ講評する審査員

●学生の感想

すでに多くの環境施策がある中で、新しい切り口を探すことに苦労したと振り返ります。「面倒を減らす」だけでなく、「楽しさを増やす」ことに目を向け、誰もが持つ「かわいい」という感情と家族への思いにたどり着いたとのこと。
発表では企画の入り口を印象づけるため、親しみやすい表現や流行の要素も取り入れています。プログラムを通して、これまで意識していなかった資源回収、分別、食べ残しの削減も、積み重ねれば大きな効果につながると実感したという声がありました。将来の仕事でも、企画や提案へ脱炭素の視点を取り入れたいそうです。

テーマ3「デカボを、毎日の当たり前に。」のまとめ

2チームに共通していたのは、環境に配慮した行動を「好き」や「かわいい」といった身近な気持ちと結びつけたことです。参加したくなるきっかけと、繰り返したくなる仕掛けによって、デカボを無理なく日常に取り入れる可能性を示しました。

審査結果と全体総評

審査員大賞に選ばれたのは、子どもの「かわいい」と家族の思い出をデカボにつなげた、日常デカボBチームでした。受賞した学生は、「それぞれの『かわいい』を見つけ、デカボにつなげてもらえたらうれしい」と思いを伝えました。

全体総評では、中間発表から最終プレゼンテーションまでの短い期間に、各チームの企画が大きく磨かれたことが評価されました。また、最後まで諦めずに形にした経験は、今後にもつながると伝えられました。
6チームの発表を通して見えた大切なキーワードとして、「家族への愛」と「地元への愛」が挙げられました。人や地域を大切に思う気持ちは、人を動かし、持続可能な社会をつくる力になります。

この発表会は終わりではなく、アイデアを実現していくための始まりです。学生たちが示した多彩な入り口をヒントに、皆さんも自分らしく続けられるデカボアクションを探してみませんか。