2026.9.15
えひめチャレンジ
【連載第2回】テーマ「脱炭素イベントを、冬一番行きたいイベントに。」

学生が考えたデカボアクションを紹介する環境課題解決型プログラム「えひめチャレンジ」。連載第2回では、大街道(おおかいどう)商店街で開催予定の脱炭素イベントを例に、学生たちが出し合ったアイデアを紹介します。
テーマ2「脱炭素イベントを、冬一番行きたいイベントに。」
このテーマの課題は、大街道商店街で開催予定の脱炭素イベントを例に、環境への関心にかかわらず、多くの県民が「参加したい」「また来たい」と思える企画を考えること。「面白そうだから行ってみたら、結果としてデカボにつながっていた」と感じられる企画を考え抜いた2チームの発表を紹介します。
大街道Aチーム
みんなで挑む、みかんの世界記録

●発表内容
チームはまず、環境に関心のない人に、いきなり行動の変化を求めるのではなく、デカボを知り、楽しい体験として覚えてもらうことが必要だと考えました。
大街道商店街には、年齢や関心の異なる多くの人が行き交います。しかし、脱炭素を前面に出しただけでは、無関心層に足を止めてもらうことは簡単ではありません。そこで「楽しそうだから参加したら、実はデカボだった」という体験をつくるため、誰もが知る世界記録への挑戦を提案しました。

企画の中心は、大勢で同時にみかんを食べるチャレンジ。既存記録を上回る1,414人(伊予にちなんだ数字)を目標に、事前に参加を決めていた人だけでなく、当日たまたま商店街を歩いていた人も一緒に記録をつくります。愛媛らしいみかんと世界記録を組み合わせることで、「自分もその一人になりたい」という気持ちを引き出します。
県内各地には参加を呼びかけるポスターを掲示し、会場では参加人数や残り時間をウェブページにリアルタイムで表示し、同じ目標へ向かう一体感を高めます。参加者は自分のデカボアイデアを投稿でき、共感した案に反応を送ることもできます。人気のアイデアを見える形にすることで、参加者自身がデカボについて考え、発信する流れをつくります。

説明を聞くだけの啓発ではなく、自分からデカボを調べる「アウトプットを前提とした学び」が重要とのこと。楽しい体験とともにデカボが記憶に残り、その後の日常行動を支える土壌になることを目指します。
食べ終わったみかんの皮も廃棄せず、農家へ返して堆肥にし、次のみかんづくりへつなげます。さらに毎年、異なるデカボの世界記録へ挑戦し、大街道の恒例イベントに育てる構想も示されました。
●審査員の講評
審査員からは、世界記録という分かりやすい目標を入り口に、環境に関心のない人も共通体験へ巻き込む発想が評価されました。「1,414人の一人になりたい」と思わせる力があり、聞いているだけでも参加したくなる企画とのこと。
一方、イベントへの参加を、その後の日常的な行動へどうつなげるかという問いも示されました。チームは、楽しかった記憶こそが意識や態度に残り、将来の行動を支えると説明。イベント後にも参加者と接点を持つ仕組みを加えると、さらに効果が高まると考えられます。
●学生の感想
学生は、企画の新しさだけでなく、仕組みを分かりやすく伝えること、「一緒に実現してみたい」と思ってもらうこと、実現可能性を感じてもらうことを意識したと振り返りました。
デカボはまだ十分に浸透していない一方、特別に難しい行動だけでなく、身近な小さな選択もデカボになると知ったことが新鮮だったそうです。また、デカボ自体を前面に出すのではなく、人の欲求や楽しみを入り口に行動へつなげる考え方にも気づいたといいます。
大街道Bチーム
選び方で値段が変わる、デカボな鍋焼きうどん

●発表内容
チームはまず、環境に良いと分かっていても、「面倒」「自分には関係ない」「面白くない」と感じると行動につながりにくい点に着目しました。そこで、「おいしいものを食べたい」「なるべくお得に楽しみたい」「面白いことをしたい」という率直な気持ちを入り口にしました。
提案したのは、冬の大街道で、愛媛で親しまれている温かい鍋焼きうどんを楽しむイベントです。ただ食べるのではなく、参加者が二択の具材から一つずつ選び、自分だけの鍋焼きうどんを完成させます。

選択肢には、旬の食材と季節外れの食材、地元産と遠方・海外産の食材などを用意します。CO₂排出量が少ないと想定される食材を選ぶほど、合計金額が安くなります。参加者は難しい数字を覚える必要はなく、「お得に食べたい」と考えて選んだ結果、地産地消や旬の食材を選ぶことになります。会計時には、選んだ具材、合計金額、デカボへの貢献が分かるシートを受け取ります。
マイ箸を持参した人は参加費が安くなり、ここでも環境に配慮した行動が「お得」につながります。さらに、会場全体のCO₂削減効果を、県のキャラクターを使ったパズルゲームとして大型画面に表示します。参加者がゲームを操作し、みんなの削減効果が積み上がる様子を楽しめます。「おいしい」「安い」「面白い」を追いかけた結果、いつの間にかデカボを体験している設計です。
冬の大街道から始め、季節に合わせて料理を変えたり、県内の観光地へ広げたりすることで、より多くの人にデカボを知ってもらう将来像も示されました。

●審査員の講評
審査員からは、そのままでは実感しにくいCO₂排出量を、誰にとっても分かりやすい「金額」と結びつけた点が高く評価されました。冬に食べたい愛媛の名物として、鍋焼きうどんに着目した点にも関心が集まりました。
マイ箸を持参しなかった場合の負担も、単なる一律料金ではなく、箸に関わるCO₂排出量を基に決めると、企画全体にさらに一貫性が出るとの提案がありました。
また、自分の選択が全体の削減にどのくらい貢献したのかを分かりやすく示すことや、会場だけでなく帰宅後も結果を確認できるようにすることが、再参加や日常の行動につながるとの助言もありました。季節ごとに料理を変えられるため、発展の幅が大きい企画としても期待が寄せられました。
●学生の感想
学生たちは、印象的なアイデアだけで終わらず、課題の整理から施策まで論理を一貫させることに力を入れたと振り返りました。脱炭素は言葉だけでは何をすべきか分かりにくいものの、入り口を工夫すれば、意識していなかった行動も地球のためになっていると気づいたそうです。
また、店舗や企業のように対象を絞りやすい企画とは異なり、行政の企画では幅広い県民を対象として考えなければなりません。「誰にとって、どのような価値があるのか」を掘り下げた経験は、今後さまざまな企画を考えるうえで役立つという感想が聞かれました。
テーマ2「脱炭素イベントを、冬一番行きたいイベントに。」のまとめ
2チームはそれぞれ、「みんなで記録をつくりたい」「おいしく、お得に楽しみたい」という気持ちから、環境への関心を参加条件にしないイベントを考えました。一方で、一過性の盛り上がりで終わらせず、継続的な取り組みとして将来につなげる必要性も示されました。
最終回では、日常のデカボアクションに関する提案と、6チーム全体の審査結果を紹介します。